ロンドン在住ヴァイオリニスト・小町碧が様々な音楽活動をはじめ、英国の音楽や作曲家のエピソード等を連載。

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冒険心溢れる場所

【BBC Radio 3 Late Junction、ブロードキャスターのニック・ラスコムさんと】
 
今年70周年を記念するBBC Radio 3。
様々な番組が存在する中で、「冒険好きなリスナーのための場所(The home for adventurous listeners)」を追求してきたLate Junctionという番組は、音へ革新的なアプローチを持つ、最先端の音楽を発信しています。
 
実は、BBC Radio 3は主にクラシック音楽を取り上げるチャンネルというイメージを私は持っていたのですが、先日、私の演奏がこの番組で放送されたことがきっかけで、後日番組の生放送ライヴ・イベントに招待頂き、Late Junctionについて更に知る機会を頂きました。
 
ジャンルを超え、「音楽」そのものの新しい発想、感じ方、世界観を提案してくれる番組。ライヴ・イベントは、はたと目を開かせる体験でした!
 
番組のDJでブロードキャスターのニック・ラスコムさんは、今までに様々な場でラジオDJ・音楽キュレーターとして活躍され、長年、日本の音楽も含めて、世界中の音楽を番組で紹介されてきました。
そんな彼が番組で取り上げてくださったのが、作曲家・細川俊夫さんの作品、「無伴奏ヴァイオリンのための呪文」。昨年11月、東京で開催された細川俊夫さんの「10 x 6 還暦記念コンサート」に出演させて頂いた時の、ライヴ録音です。
 
「呪文」では、ヴァイオリンが巫女の声となり、歌います。天へ捧げる、深い祈りの歌です。
11月5日まで下記リンクにて試聴できるので、是非お聴きください!(演奏は33:00より)
細川俊夫:「無伴奏ヴァイオリンのための呪文(2010)」
小町碧(ヴァイオリン) 録音:イシカワカズ
 
この放送の翌日開催されたのが、サウスバンク・センター(ロイヤル・フェスティバル・ホール)の、Late Junction生放送ライヴ・イベント。なんと、臨時の放送スタジオが設置され、演奏や曲紹介も観客の前で行われるという、70周年記念ならではの、特別なイベントでした!
 
毎週火~木の夜11pm~12:30am に放送される番組なので、もちろんイベントが開催されたのもこの時間!
深夜にサウスバンク・センターに行くなんて初めてでした。
 
トップバッターで演奏したSarathy Korwar の音楽は、ジャズ、エレクトロニック、そしてインドの民謡音楽のフュージョン。続いて、ヨークシャーのAshtray Navigationsによるエレキ・ギターとエレクトロニックの、今までに聴いたことがないような革新的な音楽。
【Ashtray Navigations】
 
それから、ラスコム氏が紹介したのは、「In the shadow of Skylon (スカイロンの影で)」という作品。こちらは1951年の「イギリス祭」にてサウスバンク・センターの向かい側に設置された、高さ300メートルのロケット型「スカイロン」という謎のオブジェからインスピレーションを受けた音楽。「スカイロン」はイベント後に取り壊され、存在は忘れ去られてしまったものの、このミステリアスな音楽を通して当時の場面や雰囲気、様々な想像を広げることができます。
 
放送の音源だけでも、演奏やイベントのエネルギッシュな臨場感が素晴らしく伝わってくるので、皆さんも下記試聴リンクにて、是非聴いてみてください!
「Sound Frontiers:Nick Luscombe Live from Southbank Centre」 
 
次はどんな音楽に出会えるのだろうか、と好奇心をそそられながら、
未知の世界へ一歩足を踏み入れてみるのも、音楽の一つの楽しみ方。
改めてその冒険心を実感させてくれたLate Junction、これからも一人のリスナーとしてこの場所を訪ねていこうと思います。

ディーリアスが眺めた夕暮れ

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  「I will meet you when the sun goes down」 (会いに行きます、陽が沈む頃に)   フレデリック・ディーリアスの楽譜にて、何度も繰り返される言葉。 このフレーズから始まる「Negro Songs (黒人の歌)、バリトン、コーラス、オーケストラのための」という作品の自筆譜は、近年発掘されたばかりです...

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冒険心溢れる場所

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念願のグラインドボーン!

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  最も伝統的なイギリスのオペラ音楽祭と言えば、グラインドボーン。 「いつか行ってみたいなぁ」とずっと憧れていた場所なのですが、今年の夏は、英国在住14年目にして、遂に初のグラインドボーンを体験することができました!   オペラの素晴らしい演出はもちろん、それを鑑賞するまでの一連の過程も、この音楽祭の最大の魅力です。   ...

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